対人恐怖症は生まれつきではない?

対人恐怖症は遺伝の要素が多少影響する症状とされています。不安を感じやすい気質や行動を抑制する気質などが遺伝し、対人恐怖症の要素となっていることが考えられますが決して生まれた時から対人恐怖症になるわけではありません。むしろ対人恐怖症で苦しんでいる人は子供の時はとても無邪気で活発だったという人も少なくありません。決して生まれつきではないものの、遺伝の要素や育て方なども大きく左右します。

親のどちらかが対人恐怖症の場合、子供も同じように対人恐怖症となる可能性は普通の子供の数倍に及びます。これは対人巨富症の親の遺伝子を受け継いでいること、そして親の育て方などが大きく影響しています。対人恐怖症は過度に自己評価が低い場合やなるべく問題を回避する行動などが影響して発症することが指摘されています。過度に自己評価が低いケースというのは、周りと比較してあの子はいいけどお前はダメというように常に比較されて育てられてきたケースなどが該当します。こうなると自己肯定感を育むことは厳しく、自分自身を否定するような人物に成長してしまいます。

過保護に育てている場合も対人恐怖症の可能性を高めます。一見すると自己評価が低くなりそうにありませんがそれではなく、行動を制限するケースです。これをやったら危険などと排除させていくと最終的には人間関係においても面倒なことや危険なことは回避しようという気持ちになっていきます。子供の時から人付き合いが苦手で、いつも一人ぼっちだった人はこれらの育て方が大きく影響しています。他にも厳しく育てているつもりが全然愛情が注がれておらず、結果として子供を長い間傷つけさせるような形で成長させてしまうことなどもあります。

対人恐怖症を抱えている親はお友達とコミュニケーションをとって一緒に育てていくようなことはまずできません。しかも誰かを頼ることができず、自分で問題を抱え込んでしまう可能性があります。それでいてストレス耐性があまり高くないために、ついつい子供に手が出てしまったり怒鳴ったりしてしまって自己嫌悪に陥るというのが考えられます。生まれつき対人恐怖症ということではないものの、生まれた時から対人恐怖症を誘発するような育て方をされているのは事実です。そうしたことが長い人生に大きな影を落としていることは明らかです。

もし自らが対人恐怖症を抱えており子供が生まれて育児をしなければならないという場合に心がけておきたいこととして、ありのままの成長を考えておくことです。対人恐怖症を克服する際にはありのままの自分であることを認めることが求められます。もともと完璧主義者やマジメな人が対人恐怖症になりやすいため、完璧を目指さずに自分なりの生き方をしていけば周囲の目が気になることもなくなることが言われています。育児に関しても同じであり、誰かを比較する育て方だといずれ相手を下げて相対的に自分の価値を上げるような人間になってしまいます。だからこそ、ありのままでいいというのは大事な要素です。

大人になってから性格を変えることは人生を変えることと同じくらい難しく、自分だけの力では大変です。性格的にいつでも対人恐怖症と隣り合わせの人も結構います。その時にそのことばかりを悔いても仕方ありません。むしろ短所が長所になることもあるため、長所として活用できるとしたらどういうことかを考えるのも1つです。神経質な性格は一歩間違えれば対人恐怖症を招くような気質ですが、細かなことを気にして妥協を許さないという方向で利用できます。職人気質の人ほど神経質であるため、そうしたところに適性があるなどと思えば神経質でも悪い気はしません。

できることとすれば考え方を変えて発想を転換させることです。これは対人恐怖症を抱えながら育児をする親にとっても同じことです。子供を危険な目に遭わせたくないと考えるのはちゃんとした親心です。それを直接子供にしてあげることは子供に影響を与えるため、子供に見えない所で危険要因を取り除いていくことで安全を確保して子供自体はそれに気づかずに自由に遊べます。こうすれば、回避行動の気質を植え付けさせずに済みます。いつまでも安全な環境で生活できるわけではないため、まずはやらせてみてなぜそれが危険かを分からせることも必要です。

対人恐怖症は遺伝や環境が大きく影響するものの、生まれつきのものではありません。ただ対人恐怖症になってしまうような環境が生まれたころから存在する可能性は十分にあります。大人になってそのことを悔いたり育ててくれた両親にイライラしたりしてもどうしようもありません。その分、考え方を変えて今の自分をすべて受け入れるようにしていけば、親を恨み続けることもなくなります。そして、自分が親になった時に親にしてほしかったことをしてあげるだけでなく、どんな形で成長しても認めてあげることが必要です。